アイヌの食文化を再発見  Rediscovering the food culture of the Ainu people

2017/12/14

 

 

2017年10月29日、初めてのアイヌフードフェスティバルが、札幌アイヌ文化交流センター・ピカコタンで開催されました。600名以上の来場者が、パネルディスカッションや木彫りのワークショップ、薬草を学ぶ散策、アイヌ伝統料理教室などのプログラムに参加しました。

 

スローフードと先住民族テッラマードレのイベント

Slow Food and Indigenous Terra Madre Events

 

このイベントは メノコシモ(アイヌ女性会議)とスローフード日本によって、2020に控える国立アイヌ博物館オープンを視野に入れ、「アイヌ食文化ルネッサンス」に弾みをつけることを目的に企画されました。

 

アイヌ民族は何百年もの間、日本に差別を受けてきました。先住民族として認められたのは、2008年とごく最近のことです。そしてこれまで、アイヌ民族のアイデンティティが食を通して語られることは、一般的ではありませんでした。

 

食の力=焦点を変えること

The power of food: shifting the focus

 

日本スローフード協会代表の伊江玲美氏は、「アイヌの食文化を分かち合うことは、『先住民族としての権利を唱えること』よりももっと説得力があります」と語ります。「アイヌの文化がどれだけ尊いものなのかを、匂いを嗅ぐこと、味わうことによって知り、そして自然との繋がり、精神性、採集についての伝統的な知識などについて敬いの気持ちを持つようになります。」

 

共同体の認知と自己認知

Community awareness and self-esteem

 

このイベントの前、ほとんどのアイヌ女性たちにとって、アイヌの伝統料理を作るのは伝統儀式の時くらいで、彼女たちの中でアイヌ料理を守っているという意識などなかったと言います。しかし、スローフードと協働しながら、アイヌの女性たちは、自分たちにとってのアイヌ食文化の重要性だけでなく、日本、そして世界にとってのアイヌ食文化の重要性を認識するようになりました。アイヌフードフェスティバルは、アイヌの女性たちが、自分たちの食を通じて過去に思いを馳せ、祖先が台所から台所へと伝えてきたことを顧み、そしてそのことに誇りを持つ機会となりました。

 

認知度の向上

Awareness raising

 

何百年もの抑圧によって、アイヌ民族の人びとは自分たちが食べる肉、魚、野草の採集や狩猟をする権利を失いました。実際に、アイヌフードフェスティバルでは、多くのアイヌ女性が、触ったことのない食材で調理をするなど、人生初の体験をしました。パネルディスカッションでは、先住民族の食ムーブメントの中で、狩猟や採集をする権利を取り戻したケースはあるのかという質問が出ました。アイヌの人びとから出ている心配の声として、アイヌ食が注目を集めた時、その食材を確保することが困難であるという意見があります。それは、狩猟や採集が主な材料調達方法であるにも関わらず、私有地や国営地での採集は禁止されているからです。参加者の一人からは、アイヌの次世代にのこしていくための固有の土地として「アイヌ土地信託」を作っては、という意見が出ました。

 

何をもってアイヌ食なのか?という議論もありました。アイヌの人びとに食べられていれば、アイヌ食なのでしょうか?これに対する学術研究はまだまだ少なく、いつも決まって言われるのは、アイヌ家庭で作られている料理がアイヌ料理だということです。これからは、「アイヌ食がアイヌ食たる」特徴を見つける必要があります。レフェルヴェソンスの料理長、生江史伸氏は、北欧料理を例に挙げ、コペンハーゲンにあるレストランNOMAが発表したマニフェストの中で「北欧料理」どのように定義づけされたかを、これからアイヌのガストロノミーを定義づけていく際の参考になるのではないかと話してくれました。

 

近い将来、アイヌ女性たちは味の箱船プロジェクトを通して食文化や多様性を守ったり、持続可能な社会事業を、アイヌ食を通して展開させていく予定です。

アイヌフードフェスティバルには、お弁当の企画・販売をされている方が訪れ、アイヌ特製弁当を味わい、北海道の鉄道駅で売り出すお弁当のコラボレーションの提案をしてきてくれました。これは、アイヌ食とその民族に対する理解を促すための、大きなきっかけになるかもしれません。

 

2つの鍵となるポイント

Two key issues for the near future:

 

アイヌモシ(アイヌの土地)とアイヌの文化を、食を通して守っていくためには、どんな戦略が必要なのでしょうか。

権利や認知の話はあまりせずに、アイヌの食の部分だけに、スポットライトを当て続けた方がいいのでしょうか?

どうしたら、アイヌでない人がアイヌ文化を商業的な活動に利用することを最小限に抑えることができるでしょうか?

これらの質問の答えを探求するため、スローフードと先住民族テッラマードレのネットワークは他の先住民族コミュニティの事例の研究を成功・失敗を含め探っていきます。

 

 

 

アイヌフードフェスティバルの詳しいレポートはこちら

 

 

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