第8回 Slow Fish レポート

2017/5/31

2017年5月18~21日(木~日)の4日間、第8回となる、Slow Fish 2017 がイタリアのジェノバで開催されました。

Slow Fish 2017のテーマは、WE ARE THE NET
単に漁業、海洋資源のみの扱いのではなく、地球全体で何が起こっているのか、海にどのような影響を及ぼしているのか。漁師、料理人、科学者、若者、政治家、企業等が共に一つの網のように海洋資源の問題や持続可能な漁業に関して国を超えて意見交換をし、次に繋がるヒントを得る場となりました。
Slow Fish 2017には、日本を含め、オーストラリア、コンゴ民主共和国、カーボベルデ、デンマーク、エクアドル、フランス、アイルランド、イタリア、モロッコ、オランダ、ロシア、セネガル、韓国、スペイン、スウェーデン、チュニジア、ウガンダ、米国といった多数の国々からの代表者が参加しました。

開会式には、イタリアの農林水産大臣、ジェノバ市長、リグーリア州知事、そしてスローフード協会会長カルロ・ペトリーニ等が集結。欧州委員会カルメヌ・ヴェッラ委員からのビデオレターも届き、現在の海洋政策の方向性と課題について語り合い、改めて現場の声を政策へと反映させる重要性を確認しあいました。

テープカットで正式にイベントがスタート。出店している漁業者などに挨拶をして回っていました。

イタリア農水大臣、ジェノバ市長やピエモンテ州知事も参加イタリア農水大臣、ジェノバ市長やピエモンテ州知事も参加
会場内を挨拶回り会場内を挨拶回り
開会式で話すカルロ・ペトリーニ開会式で話すカルロ・ペトリーニ

 

Mercato マーケット出店エリア

例年と同じように、今年もマーケットの中にスローフィッシュのプロジェクトに参加する漁業者や、各国のコンビビウム関係者が出店していました。

サルデーニャ州のカラスミや、オランダのワデン海でとれた牡蠣や海藻、トスカーナのカツオのラグーやうなぎなど、加工品が中心ですが、様々なスローフィッシュ関連製品が集まっていました。それ以外にも、オリーブオイルなどのスローフードプレシディア品も揃っていました。

 

Chef’s Alliance Kitchen シェフズアライアンス・キッチン

現在、約20ヶ国、600名の規模に拡大している、シェフズアライアンス。スローフィッシュにも、各国からシェフが来て、魚介料理を中心に様々なワークショップを行なっていました。ムール貝やソフトシェルクラブ、また普段は食用とも見なされない魚の調理方法など、各国の知恵が紹介されていました。

 

Fish Community 漁業コミュニティーとのミーティング

今回、日本を含めオーストラリア、コンゴ民主共和国、カーボベルデ、デンマーク、エクアドル、フランス、アイルランド、イタリア、モロッコ、オランダ、ロシア、セネガル、韓国、スペイン、スウェーデン、チュニジア、ウガンダ、米国といった多数の国々から集まった漁業コミュニティ、漁業関係者の大小のミーティングや発表が絶えず行われていたブースが、Fish Communityのブースです。担い手不足をどのように解決して行くのか、地域からどんどん奪われていく漁業権の政策を、どのようにまた方向転換できるのか、失われていく伝統を、どのように守っているのか、など、それぞれの取り組みや研究内容を紹介し、意見交換を行う場となっていました。それぞれの発表の内容は今後独立した記事になる予定ですが、英語でSlow FishのFacebookグループページから見る事ができます。

オーストラリアの3代目若手漁師Katherine McAdamsオーストラリアの3代目若手漁師Katherine McAdams
メーン州でSkipper's Programに参加する高校生Betsey
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池田朱里さんのプレゼンテーション

今回、スローフード横浜・鎌倉支部の支援で日本から代表で参加してくれた、東京海洋大学の池田朱里さんも、自身の行なっている研究や、これからの目標について、発表してくれました。多くの学びと刺激があった事と思います。
池田さんは青森県出身で、現在は東京海洋大学で魚の行動研究をしています。また、稚魚を効率的に逃す網の研究開発にも関わっています。自身のふるさとで開催されている、鮭のつかみ取り祭が大好きだった池田さん。不漁が原因でそのお祭が開催できなくなったことを知ったのがきっかけで、この分野に進んだとのことです。漁業となると国際舞台では批判されることが多い日本から、若い世代の、かつ女性で、自身の故郷の漁村とも繋がりを持ちながら研究を行なっている池田さんがスローフィッシュに行ったことは、とても意味のあることでした。

彼女がスローフィッシュで見た事や学んだ事を共有してもらうイベントを、現在スローフード横浜・鎌倉が計画中です。詳細が決まり次第、お知らせします。鮭祭りの未来鮭祭りの未来

日本からのお土産を持参
日本からのお土産を持参
スペインの漁師と交流

Others… その他

UNISG Activities – 食科学大学のブースでのプレゼンテーションや、学生による各言語での会場ツアー、生産者や卒業生の講演など

 

Enoteca – Slow Wine掲載のワインや日替わりの天然酵母ピザなど

 

Street Food – EU各地から集まったクラフトビールや、郷土料理のフードスタンドなど

 

Slow Path – スローフードの概念やスローフィッシュプロジェクトについての説明を聞きながらの会場ツアー

 

Eataly Cooking School – イータリー内での各種クッキングクラス

 

Concert – 会場内メイン舞台でのコンサート

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